vol.30

このページでは、日本各地に潜む物の怪を毎回1匹ずつピックアップ。オリヂナルイラストをつけて紹介してゆきます。




九州地方で謂う魔物の事。闇夜で怪しい声を発すると謂う。かつて福岡県宗像郡津屋崎町の宮地嶽神社ではお正月の恒例行事として「鷽替え神事」ならぬ「もま替え神事」が催されていた。太宰府で替えられるのは木彫りの「鷽」だが、「もま替え神事」で替えられるのは津屋崎人形の「もま笛」である。吹くと「ホ〜ッ、ホ〜ッ」と音の出る土笛である。この神事は当初「玉替え祭」と呼ばれていた。「宮地嶽山中で正直者が金の玉を得た」という故事に因み、番号の付いた3〜4センチ程の木の玉を買った人達が一定の時間自分達の玉を交換し、抽選で当選した人が金の玉や鏡餅を貰えたそうだ。途中から「もま笛」が配られるようになり、玉を交換する事は無くなったものの、番号による抽選は引き継がれた。しかし「もま笛」の伝承者不足から、10年程前から再び木の玉に戻っている。宗像地方で謂う「もま」とは梟の事である。津屋崎人形の「もま笛」も梟の様な姿をしている。闇夜に響く梟の鳴き声は確かに怪しく、魔物の存在を彷彿とさせる。