vol.36

このページでは、日本各地に潜む物の怪を毎回1匹ずつピックアップ。オリヂナルイラストをつけて紹介してゆきます。




鳥山石燕の画図百鬼夜行にもその姿を見る事が出来る、一つ目で僧侶の姿をした怪。石燕の物には解説が一切無く、どういった物の怪か、未だ謎の多い怪である。伝承としては東京都や静岡県、岡山県等に残っている。静岡県では、麦の葉が青くなる頃、麦の中から真っ青な麦坊主が出て来て子供をさらって行くと謂う。「隠れ座頭」のように、子供が遅くまで遊ぶのを戒めた伝承のようだが、こうして青という文字に季節感や情景が付加されると、俄然存在感が増してくる。日が長くなり、過ごしやすい季節になると、ついつい遅くまで遊んでしまったという経験は誰しも持っている事だろう。東京都立川市にも5月の終わり頃、夜の多摩川沿い身の丈二丈で笑い顔の「アオ入道」なる物の怪が出たと謂う。川獺の仕業らしいが、これも青坊主の亜種のようだ。
      <参考文献>「全国妖怪事典」          千葉幹夫編
            「立川民俗第五号」      立川民俗の会発行
            「鳥山石燕 画図百鬼夜行」     高田衛監修
                         稲田篤信・田中直日編