vol.39

このページでは、日本各地に潜む物の怪を毎回1匹ずつピックアップ。オリヂナルイラストをつけて紹介してゆきます。




鳥山石燕の「今昔百鬼拾遺」に描かれた目の怪。廃屋の障子に無数の目が浮かび上がった、なかなかインパクトのある絵柄である。碁打師によって注がれた目の念が、廃墟の障子に無数の目となって現れた物ではないかと謂われる。物怪トラベラーの東北観光必読の書、山田野理夫氏の「東北怪談の旅」には、この怪と同種と思われる「障子の目」「目の怪」が記されている。「障子の目」は空き家になっている屋敷に出る怪で、障子に無数の目となって現れる。銭勘定にうるさい男はこれをものともせず、一つずつとって袋に入れ、眼科医に売り払ったと謂う。「目の怪」は生保内(おぼない)という宿場町の旅籠に出たと謂う。南部藩士・松沢喜内は久保田からの帰りにこの旅籠に泊まり、見つめ返す度にその数を増す怪しい目に遭遇する。不思議な事にこの目が現れて以来出世し、その後も目に遭遇する度に仕事がうまくいったと謂う。
<参考文献>「東北怪談の旅」          山田野理夫著
      「鳥山石燕 画図百鬼夜行」     高田衛監修