このページでは、日本各地に伝わる物の怪に纏わる物産を、物の怪観光が誇る物怪博物館コレクションの中から毎回一点づつ紹介してゆきます。




広重の東海道五拾三次にも描かれている小夜の中山峠は箱根、鈴鹿と並ぶ東海道の三大難所と呼ばれ、峠を越える幾多の旅人達を悩ませ続けてきた。故にこの峠は数多くの紀行文や和歌に取り上げられる名所でもある。しかし何よりこの峠を有名にしたのは滝沢馬琴等によって広く世間に知られるようになった「夜泣き石」であろう。お腹に赤ちゃんを抱えた女性が、小夜の中山で盗賊に殺され、以来、その場所にあった石が夜になるとしくしくと泣くようになったいう不思議な伝説である。この付近には観音像が女に化けて、赤ん坊に舐めさせる飴を買いに通ったという飴屋や、その子育て観音で有名な久延寺等、伝説縁の場所が数多く残っている。しかし、何故か現在「夜泣き石」と呼ばれる石は峠に二箇所ある。一つは久延寺の境内に、もう一つは国道1号線の脇にあり、共に見る事が出来る。どちらも本物という事で伝承も諸説あるが、そこら辺は後程特集でじっくりと検証したいと思う。峠には石と同様、子育て飴を売るお店が幾つかある。いずれも元祖という事で、味や売っている物も微妙に違う。もともと久延寺周辺では幕府よりそれぞれの店で「飴の餅」を売る事が認められていたというので、本来はもっと沢山のお店が軒を連ねていたのだろう。おそらく厳しい峠越えをする旅人達の栄養補給に一役買っていた物と思われる。現在も残る飴屋の内の一軒、小泉屋は国道側にある。ここではこの店オリジナルの小冊子等が売られている。中でも注目は夜泣き石のテレホンカードだ。写真の物とイラストの物の2種類があった。写真の方に写っているのは当然国道脇の石である。特製の解説付き台紙も嬉しい。携帯電話の普及でテレホンカード自体の需要が無くなりつつある今、貴重な物怪物産であると言えよう。各900円也。