このページでは、日本各地に伝わる物の怪に纏わる物産を、物の怪観光が誇る物怪博物館コレクションの中から毎回一点づつ紹介してゆきます。




伊東市の一碧湖には赤牛という怪物の伝説が伝わっている。一碧湖の主は年老いた赤牛で、小川沢(岡区)の奥の「池の平」に住んでいたが、池の水が干上がってしまった為、引っ越して来たのだそうだ。赤牛は湖から出て来ては村人を困らせた。ある若者は手招きする美しい娘に誘われるまま湖に入ってしまい、帰らぬ人となってしまった。また夜になると大きな赤いホオズキがぷかぷか浮かんだり、大蛇が湖の周りをぐるぐる回ったりする怪異が起こった。またある者は釣り糸にかかった獲物を掴まえようと湖に潜り、水中に潜む光る目をした竜に襲われそうになったと謂う。赤牛と呼ばれている割には牛の姿をしていない話ばかりというのも不思議だが、これらの怪異はすべてこの怪によるものだと謂われている。村人達を困らせた赤牛は最後は吉田の光栄寺の日広という僧によって、池に浮かぶ12個の小島の一つに封じ込められてしまう。彼が七日七晩の間お経を唱え、そのお経を埋めた小島は「お経島」と呼ばれ、今も一碧湖の中に浮かんでいる。湖上に浮かぶ赤い鳥居が目印なのでボートを借りて近づいてみると良いだろう。かつて盛大に催されていたという赤牛祭は残念ながらもうやっていないそうだが、今でも年に一度、8月25日には地元の人達によって祭礼が執り行われていると謂う。今回紹介する物産はこの一碧湖の赤牛の置物である。赤茶色の陶器で出来た小さな物と、神代杉で出来た大きな物がある。これは数年前、湖畔の土産物屋で購入した物である。一見すると只の干支の置物だが、共に赤みを帯びた素材で出来ている事と「一碧湖」と書かれている所がポイントである。(貸しボートもあるデートスポットだけに陶器製の置物の台座にはハートマークのステッカーが貼られている。)昔は色々な種類の物産があったというが、現在ではこれらの在庫を残すのみなのだそうだ。史跡も資料もきちんと残っているので、もっともっと盛り上がって欲しい物怪スポットである。陶器製置物500円、神代杉製置物5500円也。
<参考文献>「むかしむかしあったとさ 伊東の民話と伝説をたずねて」         伊東郷土研究会編