このページでは、日本各地に伝わる物の怪に纏わる物産を、物の怪観光が誇る物怪博物館コレクションの中から毎回一点づつ紹介してゆきます。




干支物という事で今回は猿の物産を紹介しよう。「猿の三番叟(さんばそう)」は金沢の張り子玩具で、郷土玩具としてはかなり有名である。平成4年の年賀切手の図案に採用された事もあるのでご存じの方も多いだろう。「三番叟」とは能の「式三番」で舞われる黒色面の翁の舞。千歳、翁に次いで三番目に出る事からこの名があるらしい。大変めでたい舞とされ、事始めの意味もあると謂う。金沢張り子の猿はこの老人の舞い姿に扮している。この老人は魔を払うものという意味があり、一年の無病息災を祈念して新年に飾るのに相応しい、大変縁起の良い玩具である。猿は古くから人間と関わりの深い動物で、神の使いとして、信仰の対象とされる事も多い。山に住む事から、山の神の使者とされ、水の神と関係の深い河童とは犬猿の仲である。九州の球磨川に住む河童、九千坊を加藤清正が猿を放って退治した話は有名なエピソードである。また、猿は「去る」とひっかけて、「病が去る」「難が去る」といった厄よけの意味を持たされる事も多い。金沢張り子「猿の三番叟」も江戸時代頃は背中に駄菓子を入れ、桜の木を持たせた子供向きの玩具として売られていたと謂うので、元々は子供達を病から守る為の意味があったと思われる。厳密に謂えば物怪物産というより対物怪用ウェポンといった感じだが、新年を迎えるにあたってはこういった縁起物も良いのでは。現在の物は和紙張り胡粉仕上げの置物で、鮮やかな彩色が施されている。製造販売は金沢市尾張町の「中島めんや」。ここでは張り子の他に有名な「米喰い鼠」「餅つき兎」といったからくり物など、バラエティーに富んだ郷土玩具を今も作り続けている。ネット販売もしているようなので、遠隔地でも入手可能である。価格1300円也。