このページでは、日本各地に伝わる物の怪に纏わる物産を、物の怪観光が誇る物怪博物館コレクションの中から毎回一点づつ紹介してゆきます。




これは以前このコーナーで紹介した浅草は伝法院鎮護堂の授与品、金色のおたぬきさまの像である。先日別件で浅草を訪れた際、お参りに立ち寄った処、モデルチェンジしていた。今までの物は複製のリアルな感じの狸像だったが、新しいタイプは手捻りの焼き物で丸みを帯びたユーモラスなデザイン。おそらく一点一点手で造形し、焼き上げてから金色に彩色している。眼の窪みや髭、指の割れ目等はヘラですばやく押し込んだり、切り込んだりして形を付けている。手慣れた感じで大量生産されており、底には鎮護堂の落款が押してある。見慣れた授与品がモデルチェンジというと驚くかもしれないが、案外こういった事は珍しい事ではない。以前頼んでいた授与品を売り切った段階で、その業者が生産を止めていたり、よりコストのかからない業者が見つかったりと様々な理由から同じ商品を維持する事が出来なくなる事は、少なからずある様だ。そういった事態に陥った際、別の業者に頼んだ結果、デザインが替わってしまったり、全く別の新しい品物に替わったりしてしまう。鎮護堂は如何なる理由からかはわからないが、そんなに数の出ない授与品の場合、一度に纏まった数を作らなければならない型抜きによる大量生産品よりも、必要な数をその都度注文出来る手捻りによる大量生産の方が合っているとも言える。何れにしろ、モデルチェンジする度に購入しておきたいのがマニア心である。一度足を運んだからと安心してはならない。本来授与品とは家に持ち帰って、一定期間お参りしたら、そちらを納めて、新しい物を再び持ち帰るのが習わし。まめにお参りする事を忘れてはならないと反省。今回の発見は当たり前ながら、そんな事を教えてくれた。 さて、御存知だとは思うが、ここで祀られているのは明治維新の時、彰義隊と官軍が上野で戦争をした為に、山より逃げて来た狸だと謂われている。浅草奥山に棲みついて悪さをしていたが、時の住職・唯我韶舜(ゆいがしょうしゅん)僧正によって明治16年に鎮護大使者として祀られた。火防・盗難、商売繁盛に御利益があり、芸能関係者にも人気がある。3月17日、18日には祭礼があるので、是非お参りして欲しい。価格は各1500円也。
*尚このコーナーに記載されている価格は筆者購入時の物で、あくまで参考程度です。購入時期や購入場所によって若干の開きがある事を予め御了承下さい。
<参考文献>「あさくさかんのん[図説]浅草寺 今むかし」金龍山浅草寺編