このコーナーでは、毎回巷にあふれる様々な商品の中から、その存在自体不思議な物の怪テイストのアイテムをエッセイ風に紹介します。



河童と狐。
全てにコレクションボックスが付く。

1970年代~1980年代頃、本屋には「よく飛ぶ紙飛行機」だとか、「世界の戦車」といった切り抜いて組み立てるペーパークラフトの本がたくさん並んでいた。最初、なんでも手作りしていた当時の大人は勿論の事、新しい物に敏感な子供達までも、そういった物にお金を払う事に抵抗を覚えたが、出来上がった物の精巧さ故、徐々に人気が出てきた。航空力学に基づいて綿密に計算された紙飛行機はめちゃくちゃよく飛んだし、細かなパーツを貼り合わせる事で完成する戦車や車はプラモデルに負けない完成度だった。腕に覚えのある小学校高学年くらいの間では結構流行っていたように思う。魅力はなんといってもそのクオリティの高さ。そして何よりキットであるにも拘わらず作り手を拒み、容易には完成品を与えてくれない処だろう。精巧な完成品を手にするには、ある程度の技術と根気が必要とされるのだ。友人の家に行くと、一つ二つ切り抜いただけで、埃を被っている本を目にする事も多かった。当時、こういう精巧なキットを丹念に作り上げられる奴はみんなから尊敬されたものだ。
 しかしその直後、彗星の如く登場したコンピューターゲームによって、子供達の趣味は一変する。時間と根気のいる工作よりも、より手軽に刺激が得られるゲームの方に子供達の興味は向かって行く。ゲームの攻略本は本屋の1コーナーを占拠するまでになったが、ペーパークラフトの本は次第に姿を消していった。まさにデジタル黄金時代の到来といった感じだが、家庭用のパーソナルコンピューターの普及率が上がってきた頃から、またまた状況は一変、再び書店でペーパークラフトブックを見かける機会が増えて来た。書店の一角に立つ本物そっくりの恐竜やウルトラマン。これらはコンピューター技術の発達によって、より簡単に、精巧に組み立てる事が可能になった新しいペーパークラフトである。考えてみれば、デジタルの世界では平面を立体的に見せる事にも重点をおいている。その技術を応用する事で、再びペーパークラフトの世界が活気づいて来たのである。これは東急ハンズのペーパークラフトコーナーで発見したおめんシリーズ。他にも鬼や獅子もあった。いかにもデジタルデザインといった感じだが、こういうのも今の時代を反映していて面白いのではないだろうか。発売は集文社で、価格は一つ450円(税別)。ちなみにこれを組み上げても尊敬はされないかもしれない。