このコーナーでは、毎回巷にあふれる様々な商品の中から、その存在自体不思議な物の怪テイストのアイテムをエッセイ風に紹介します。



春。寒い冬を押しのけて待ちに待った春がやって来た。大量に舞う花粉やら、卒業、入学、就職、異動、転勤と、身体的なきつさや、別れや不安といった精神的なつらさもあるけれど、やはり春は生き物達が動き出す、一年で最も生命力に溢れた時。まだまだ早いなと思いながらも、泳げなくもない?って事で行われる南国の海開きのように、こちらから季節を先取りしてしまうくらいの気合いが必要かもしれない。小雪が舞っていようと、春なんだからと花見をすれば、季節は一気に春なのである。そんな行楽シーズン、ふと気付くとコンビニの100円パックジュースコーナーにも春が来ていた。以前パインラムネをこのコーナーで紹介して随分経つ。その間、100円パックジュースに注目していなかった訳ではない。秋には秋の、冬には冬の、それなりに怪しい商品は出ていたが、敢えて取り上げるまでには至らなかった。しかし、今回ばかりは取り上げない訳にはいかないだろう。春の陽気に紛れて発売されたとしか思えない日清ヨークのパック入り「無炭酸コーラ」。駄菓子屋の世界ではガム、飴、ラムネ菓子にコーラ味というのはよくある話だが、パックの乳飲料でこんな商品を見たのは初めてだ。以前クリームソーダ味のパック飲料はあったので、流れからすれば当然有りなんだが、やはり牛乳なんかに混じってこのパッケージが並んでいるのには違和感がある。しかもこれは清涼飲料水ではなく乳酸菌飲料らしい。乳酸菌飲料でコーラの世界観を出す。それはポスターカラーを透明水彩として使うような、陶土で窓ガラスを作るような、無謀な試みのようにも思える。しかし、敢えてこういった商品作りに挑む処に浪漫を感じたりしないでもない。パッケージには「飲んでみて、美味しくてビックリ。思わずだれかに教えたくなる、不思議なドリンクです。」なんて書いてある。これは飲んでみない訳にはいくまい。コップに注いでみる。色はヤクルトやマミーのような乳酸菌飲料系。一口飲んでみる。確かにビックリ。風邪とか花粉に効きそうな味だ。ある意味人に薦めずにはいられない。…店頭から姿を消す前に、是非ともこの味を体感して戴きたいものだ。勿論価格は税抜き100円である。って結局春とはなんにも関係なかったりして…。