このコーナーでは、毎回巷にあふれる様々な商品の中から、その存在自体不思議な物の怪テイストのアイテムをエッセイ風に紹介します。



前回の恐怖ボトルなんかに近いかもしれない「こういうのあった、あった」シ リーズ。今回登場するのは、棺桶や木箱の上にコインを乗せると、中から手が 出てきて持っていってしまうというスリラー系のからくり玩具、所謂ショッキ ングバンクである。動力はゼンマイで、コインを置く場所がスイッチになって いる。コインの重みでボタンが押されると、ギヤに連動した骸骨やモンスター の手が、コインを中に掻き込むという仕掛け。ゼンマイの動く音がドアのきし みや怪物の悲鳴にも似ていて、幼い頃はコインを置くのに多少心構えが必要 だった。単純だが、よくできた玩具である。昔はこういった儀式系の貯金箱が 結構流行ったが、今はあまり見なくなった。とはいうものの、このショッキン グバンクに限っては、突然思い出したように店頭に列ぶので、特にゴス系の方なんかにはお薦めDEATH。完成品は漫画雑誌の通販広告や、ジョークグッズを扱うバラエティーショップ等で見かけたが、最もポピュラーなのは、自分で組み立てるプラモデルのシリーズである。お化けのプラモデルなんかと同じように、夏頃よく見かけた。大体2、3種類が同時に発売されるが、仕掛けは一緒。棺桶からドラキュラらしき手が出て来る物や、お墓から骸骨の手が出て来る物等があった。箱にはドラキュラ城と思しき古城に置かれた棺から、爪の生えた青白い手が出ている絵や、海底に沈んだ沈没船の財宝箱から骸骨の手が出ている絵等がもっともらしい感じで描かれている。(しかもロゴはお約束の血の滴るようなホラー書体。)箱側面に他のシリーズの箱絵が紹介されていたりするが、大抵は一個買えばお腹いっぱいである。(そのくせ店頭に残っているのが自分が欲しいタイプじゃないと、妙に悔しかったりもする。)写真は洋式便器タイプのショッキングバンク。プラモデルではなく完成品で、おそらくジョークグッズとして売られていた物。向かって左側のダイヤルを回すとゼンマイが巻かれ、便器前部のでっぱり部分にコインを置けば、中から不気味な手が現れて、一瞬の内にコインを攫って行く。写真の物は薄汚れた便器になっているが、元々の成形色はピンク色で、便座に骸骨マークのシールが貼ってあった。これは物怪観光が手を加えて、作品として蘇らせた物である。物怪観光の制作活動の中には「RETAKE」と呼ばれるカテゴリーがある。かつてあったチープトイなどを、その本来持っているフォルムや特性はそのままに、その資料的価値を生かしつつ、より効果的な作品として蘇らせるという物だ。このショッキングバンクにはリペイントを施し、台座を付けた。本来のフォルムを伝える為に、敢えてパーティングラインやネジ穴はそのままにしている。これらの作品は「学校の怪談シリーズ」としていずれ展示をしたいと考えている。